人名 ・ 声調記号 ・ 日本語の表記 ・ 特殊な音声 ・ 伝統言語の音声表記 ・ 一茶の俳句
人名のしるしの表意括弧のあと、フランス語の発音で [ Napoleon Bonaparte ] と記したつもりですが、合ってます?
: ふつうの高さから高く昇る / 低音から昇る / 高音から降りる / 普通の高さから低く降りる
: 昇り降り / 降り昇り / 高音を平坦に長く伸ばす / 低音を平坦に長く伸ばす
: 低音から声を引き伸ばして非常に高くまで引き上げる
: これらはアルファベットの表記ではどれも同じ ma です。
けれど声調で区別する中国(北京)語では、左から、お母さん / 麻 /
馬 / 罵る、と
意味がまったく異なります。(相原茂著『初めての中国語』参考)
日本語のみならカナだけで十分表音できます。けれどグローバルに日本語の発音を
理解してもらうには、カナやローマ字の表現では正しい発音は伝わりません。
・ 「ッ」:
キッテ、キップ、キックなどの、急に音声を閉鎖する「ッ」も、後続子音の調音位置で音声を閉鎖します。
地球語では閉鎖記号
に閉鎖の位置を示す各子音を組み合わせて「重ね記号」で発音の違いを示します。
キッテは、
で、真中の記号は#11、#48を重ねた歯茎閉鎖を示しています。
声門で閉鎖するキッの場合は、
と書きます。
・ 「フ」: ローマ字では fu と書きますが、
と、唇歯音で発音する人は現代の日本にはまずないでしょう。
ふつうこの子音は、両唇摩擦音
{39、12}で発音されます。
・ ラ行の子音: ローマ字で ra、ri
、、と書きますが、一般には、
舌先を上に反らせる側面音
か、または舌先で歯茎をはじく
の発音ではないでしょうか?
・ 音声の高低:
日本語では音声の高低を変化させると意味が変わる場合があります。
地方によって高低の位置が異なりますね。方言の発音を詳しく記録するには、声調記号を使います。
(関東弁の「箸」、関西弁の「橋」。ハに高音記号がついています。)
(関東弁の「橋」、関西弁の「箸」。高音記号は、シに置かれています。)
ここにある「シ」も、サ、セ、ス、ソなどの
[s](歯茎摩擦音)とは異なる子音を持ちます。
歯茎と硬口蓋の両方で摩擦する子音です(IPAの分析)。
:破擦音と間違えないよう摩擦への変化記号を重ねて表しています。
ふだん何気なく使っていることばも、このように分析してみると整理できます。
外国人に日本語を教えたり、逆に外国語を学ぶとき、違いが明らかに比較できて役立ちます。
・ いびき: , ,
いびきの音を周囲の者が詳しく記録できれば、音のパターンの記録が鼻腔の医療に役立つ
かもしれません。現在、一般人には記録しにくい音ですが、地球語の表音システムがわかれば、
声の出方を捉えられます。おとなしいものから騒々しいのまで、夫をモデルにいびきの例を上げてみました。
吸う息、吐く息とどこで調音しているかがわかりますか?
・ 蛙の擬音:
ガーナ人が聞かせてくれた吸着音です。側面音の舌の片側だけをうまく使ってとても上手でした。お試し下さい。
・ クリックとハミングの組み合わせでリズムを取ってる音遊び例:
音楽に合せていろんな音や声を組み、スキャット作ってみませんか?できたらぜひご紹介くださいね。
・ 単語と単語の間に1コマの空白:間に空白があると、その前後の文字をリエゾン(連音)させません。
・ 文章の流れ・途切れがわかりやすいよう、表意用でもある次の文章記号を必要に応じて挿入します。
*
日本人なら、「いっさ」はこの俳句を読んだ本人であることを大概知っています。
けれどよその文化圏の人では、日本語を理解できたとしても固有名詞に戸惑うでしょう。
そこで
(表意文字で記された「私(詠み人)の」)名前であることが分かる表意補助括弧を
使っています。元の詩の形式にしたがって終止符は付けていません。
英訳されたものの発音も綴ります。
Poor Little Frog, so lean and thin,
Fight on and don't give in,
-- Issa is with you
("LITTLE PICTURE OF JAPAN" Olive B. Miller 編 The Book
House For Children, 1954 より)
こうして比較してみると、俳句がいかに日本語とその文字から生まれたものかがわかります。
日本語には日本の文字が最も合理的に働くのですね。
ことばと文字が一緒に育って、切り離せないところがありますね。
漢字という表意文字に慣れてしまった日本語の使用者は、ローマ字で書かれた日本語の読みにくさ、
通じにくさをよく知っています。普段から表音文字を使っている英語民も、
全く別の表音記号では読み取るのに時間が掛かることでしょう。
そして、英語のスペルが自分にとって表意文字のように働いていたと気付くに違いありません。
発音記号で発音の仕方は分かっても、そこから意味を受け取りやすいかどうかは別の問題です。
詳しく音声の区別ができるためには、当然複雑な表記法が必要です。
内容を伝えるためには、「地球語」では表音文字は必要ありません。
ここだけ見て、何と厄介な文字だろうと匙を投げないでくださいね。
日本語や英語の美しさ、伝統語のよさは、それぞれの伝統的な文字で書かれてこその
ものだということを、このような発音記号による表記と比べてあらためて認識し、
伝統語の特徴を生かした伝統文化発展につないで欲しいものです。
その一方で客観的に音声を把握するための合理的な基準尺も必要、そのシステムがこの試案です。
見慣れない文字のために今は、記号
は、〔t〕の舌で鼻音だから〔n〕というように、
一々考えながらしか解読できませんが、少し慣れてくると合成された一つの文字として
と〔n〕が直に結び付き、速く読めるようになるでしょう。
ちなみに、この俳句の内容を地球語の表意文字で書いてみましょう。
どれが「やせ蛙」を指す文字か、見当がつきますか?どうです、表意文字で書くと短いでしょ?
次は、表意の仕組みへお進み下さい。