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2012年末 地球語便り

Season's Greetings.

  来る年のみなさまのご健康とご発展をお祈りしつつ
地球語と私の201年についてお便りします。

今年の読書から
 今"Immortal Yearnings" (by Anna Maria Hemingway, 2012 『永遠の憧憬』)という本を ゆっくりと読んでいます。まるで万華鏡の中のガラス球がカシャッ・カシャッと動くように、世界中の色とりどりの古典神話の欠片に光があたります。人間世界という鏡筒の中、手前には死から蘇った現代人の体験話や心理学者の意見もちりばめられ、 古今のそれらが絡み響き合いながら奥の根源、死を超えた神の領域へと誘います。そして神話に象徴される世界には民族や文化を超えて共通性があり、今日にも通じていると著者は説き、それは自然を軸とするシンボリズムの普遍性によると述べます。同じく自然を基とし、ヒトの原始に立ち戻って出発した地球語の存在を 著者はウェブ検索して知り、彼女の来年出版予定の本"Sacred Symbols"への地球語に関する小記事掲載を依頼するとともに私にこの本をご寄贈くださったのでした。物語性を含む総合的なシンボルか、要素に分解・統合して働くシンボルかの違いはあっても、根源的な普遍性を探る仲間に出会えてとてもうれしいです。

 この本を読み進めるうちに、ほとんど忘れてしまっていた私自身の半世紀以上前の記憶がうっすらと蘇りました。高校生のころの私は強度の貧血 でじっとしていても脈拍が1分に120回も打ち、長くない命だろうと思っていました。ある夜、住んでいたビルから地下に通ずる隠し通路を発見、暗がりを進んだ奥の大きな洞窟で3千歳の哲人に出会いました。深夜を待って 夜毎に会いに通うようになりました。もちろん脈の速い体は机にもたせかけたまま魂だけでね。会話はできる限りノートしました。彼には長い名前がありましたが、もう思い出せません。会話を進めるために図書館でいろんな本を覗きました。そのとき読みかじったたくさんの神名・人名が"Immortal Yearnings" に次々登場するので、閉じられていた古い記憶がこじ開けられたのでしょう。ぎっしり書き込んだ3冊の大学ノートは、20歳のころ現実世界に向けて舵を取り直したとき にすべて 燃やしてしまいました。生死の境の領域を生きたまま超えようとするスピリチュアルなノートだったはずで、半世紀後の自身がこんなにも読みたくなるとは、そのときには知る由もありませんでした。シニアに達すると、人生の洗い直しを運命が手伝ってくれるのかもしれません。

 今年はもう1冊、"The Biology of Belief"(2005年ブルース・リプトン著)に新しい目を開かれました。著者はナノ サイズで観察する細胞学者で、意識と体の関係を量子力学まで持ち出して解説します。要約しましょう。:

ヒトの体は数十兆個の細胞からなり、その一つずつが1個人と同様に呼吸・消化・排泄・免疫・運動性・増殖などの機能をすべて備え、ヒト社会と同じくそれぞれの細胞が互いに他と連携しあって生き、 死に、再生する。DNAを含む細胞核は次世代を産むために関わるだけで、ヒトの感覚器官と脳のように情報を判断する役目は、核ではなく細胞膜である。膜を構成する多様な蛋白質が それぞれ細胞外の環境からの情報を内に受け入れるかまたは別の反応を起こすかし、それらの統合によって細胞の自己が成り立つ。DNAは再生・増殖のためのプログラムに過ぎず、環境 と細胞膜によって指令しなければプログラムは発動しない。環境には化学物質・ホルモンや温度・電磁波などさまざまな要因が含まれ、それらは外界の地球・宇宙全体につながっていて常時変化する。なかでも 細胞の持ち主の意識・意志は体内環境のバランスに敏感に響き、発病や治癒に大きく関係する。と、現代病のほとんどの要因が食べ物・水・空気から体内に入る化学物質や社会的・心理的なストレスであるメカニズム について詳しく述べられている。

禅の1=全の科学的証明みたいです。
細胞膜の判断の統合が1細胞の自己、全身の細胞判断の統合がヒト個人の自己。自己とは、動き変化しながらまとまった一つの命として存在認識することでしょうか。細胞・ヒト・あらゆる生物の統合としての地球 の自己、そして宇宙・・自然界はフラクタルに広がり、全体がつながり変化しながら存在を保っています。 自然界は、進化する「有」を肯定して保つ意志・方向性で根底を支えられていることに納得させられます。すべての「有」を産み支えつづけている存在を神と呼ぶなら。あなたも私も数十兆の細胞世界を抱え た神の一部。神道や道教の考え方 でもありますね。親鸞など、仏の名を唱えさえすればみな救われると説く日本の念仏宗教は、小さなエゴの善悪をどうこうと意識せずに、命の大元を呼び、大肯定のうてなに身を置いて感謝すれば、細胞の一つ一つにも仕込まれている存在肯定の方向性によってあなた自身もストレスから癒されるという原理を伝えているのでしょう。

ヒトが考え意志する顕在意識は意識のうちの数%に過ぎず、私たちの行動の大部分は潜在意識で営まれる。例えば動き方を一々考え指令しなくとも手足は潜在意識によって自然に動いて歩き、私たちは歩 く行為をしながら全く他の事を考えることができる。潜在意識には、本能的に備わるものと、後天的に体験から習得するものがあり、後者が自己の個性に関わる。何事にもネガティブに反応したり、怠惰に逃げ込む潜在意識を育てた人でも、命の根源 の肯定を信じる強い顕在意識によって体にしみた潜在意識をニュートラルに戻し、自己をデザインし改造することは可能だ、また個体は死んでも、その環境世界は変化しつつ永遠に続くので、ヒトも終わりなく進化し続けると、リプトン教授は 熱く語る。

異なる動機から今年出合ったこの2冊は、異なる方向から書かれていながら命の根源を見つめる点で一致していました。では地球語ではどう捉えてきたでしょう。面白いことに15年以上も前に私は、命・心・細胞・魂を次のように設定していま す。

: いのち(命の種類・状態・関係・過程など生命に関わる概念の構成にひろく重ねて使用する基礎文字)
: 心(感情・心理・性格・思いなどひろく心の現象の重ね文字表現に用いる基礎文字)
: 細胞(「点」のように見える命の最小単位組織を表す重ね文字)
: 魂・スピリット(心の元となる中心・多様な心の展開を一つ にして命と結んでいる点 の意味で構成した重ね文字)

「心」には伝統的なハートマークを流用しましたが、その逆形が「命」。「心」と「命」って、切り離せないでしょう?さまざまな感覚と反応をまとめて1つの自己 に結び、心を起こす元を「魂」と呼ぶなら、細胞の一つ一つにも命とともに「魂」があり、私たちの魂は数十兆の細胞魂の集積なのかもしれません。神が大宇宙を変化し続ける一つとして肯定する存在なら、魂も また同じ元から出たその分子なのですから。道教で体内の器官や細胞に神名をつけ、呼びかけて治癒を願う伝統がありますが、神名が付くのは、それらに魂を認めたこと にほかなりません。昔ヒトは電子顕微鏡を使わなくても無数の細胞の動きを見、細胞感覚を直感したと思われます。私自身もシンボルの設定には体に問う直感を 重視してきましたが、その結果地球語の「細胞」と「魂」が同形を上下逆転しただけのシンボルとなったことに意味深さを改めて感じます。

私の2012年と2013年の予告・連絡事項
  上記の例のように地球語のシンボルで仲介しながら自然から世界を見直す考え方の試みを本にまとめようと取り掛かっています 。今年中に日本語の下書きを終える予定でしたが他に例のない内容なので書き方をめぐってやり直し の連続、まだ半分しか進んでいません。去年から他にも海を隔てて考え事があ り、不眠 ぐせがつきました。、トシをとると体の感覚がわずかに違って、初めての自分を感じることが多くなります。自分の細胞のコントロール法も少しずつ違ってきます。そんな変化と対策の研究を楽しめるようで居たいと思います。今年も去年にまして森と畑で肉体労働を続けました。筋肉の充実ぶりには我ながら見ほれます(笑い) が、そのせいで頻尿という予期せぬ不便な症状につかまっています。女性の下腹部は重いものを運ぶには適さないことに無知でした。お陰で私の今年の行動範囲は45分離れたシアトル 行きが最長距離という狭さ。泥んこ作業を頻繁に中断するのも不便、なんとか直そうと、人様からは見えない筋肉も長期戦で訓練し始めたところです。まだ何とか読める視力も大切に保つため、手術やメガネなしで 矯正トレイニングを続行中です。 薄色の線が認識しづらいので、ご案内いただくサイトを覗いても書き込みボックスやスクロールバーの位置がわからずあきらめることもあります。ごめんなさい。 人体とは何とまぁ複雑・精妙な、そして巨大な構造物ですね。仕事速度が落ち、体のケア時間が増えて1日 がどんどん短く感じられますが、2013年は、執筆中の本に重心を移してがんばります。

★ グローバル俳句のウェブ雑誌"A Hundred Gourds"の編集者から来年の9月号に俳句の地球語訳と文字絵を特集したいと依頼があり、お引き受けしました。今年FacebookのEarth Languageページで何点か展示した反響のようです。俳画同様に楽しいし、詩の理解力も上がるので、仲間が増えればと思います。まとめて量を作るので 2013年前半は地球語サイトの詩のコーナーには手が回らなさそうです。

★  Mindyさん運営のWiki 方式で育てる多言語<>地球語辞典 Earth Language Dictionary siteへのボランティアにお誘いします。地球語サイトの字典に照しながら辞典の中身を加え るのにご参加ください。 世界中に広げる火付け役になるのは楽しいかも。日本語入力状態の日本語モードで日本語を、全角アルファベットモードで英語を、英語モードで地球語を入力できます。

★ フィンランドのJouniさんの地球語関係サイトはEarth Language Users' Clubに最近引っ越されました。

長文にお付き合いいただいた方、ありがとうございます。
新年があなたに幸運の出会いをもたらしますように!

2012年末  Yoshiko McFarland